東京御廟 町屋光明寺

コラム

「ライオンとネズミのお話」

【鈴木先生から】( 二〇二三年八月十四日)

ある日、ネズミが街を歩いていたら、運悪く大きなライオンに捕まってしまいました。
今にも飲み込もうとするライオンに、ネズミは必至でお願いします。

「ライオンさん!ライオンさん!どうかどうか今回だけ、私を見逃してもらえないでしょうか?
もし見逃してくれたら、きっときっとご恩をお返しします!」

ライオンはちょっと考えます。


「こんな小さなネズミに返される恩など、たかがしれている。百獣の王である私をを助けることなどできないだろう」

しかし、ライオンはきまぐれにねずみのことを逃がしてあげました。
ネズミはライオンに感謝何度も何度もお辞儀をしながら、家に帰っていきました。

それから何日も過ぎた頃、今度はライオンが人間の仕掛けた罠にかかってしまいました。
太い縄で編まれた大きな網の中に捕まって、ライオンは身動きできません。

そこへ偶然、先日助けたネズミが通りかかりました。

「今こそ恩をお返しする時です」ネズミは素早く網にかじりつき、あっという間に網に大きな穴をあけました。

ねずみは見事にライオンをワナから救い出し、あのときの恩を返すことができました。

仏教では「融通無碍(ゆうづうむげ)」といって、この世のすべてのものは互いに影響しあい、つながっていると教えています。仏教における「融通」は、全てのものがとけあって一緒になることを意味し、「無碍」は滞りのないさまを表します。

この物語では身体の小さなねずみがその何百倍もあるライオンを見事に助け出します。
人に親切にすれば、その人のためになるだけではなく、いずれはよい報いとなり自分に戻ってくるものなのです。

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